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2008年6月30日月曜日

アルコール症とはどんな病気?


かつては絶えず酒を飲み、種々の問題行動を起こす人を「アルコール中毒」と呼んでいました。
しかし現在では、一気飲みなどで急激な中毒症状が現れる「急性アルコール中毒」の場合のみ、この言葉を使います。

アルコールは、繰り返し摂取していると、それなしではいられないという欲求を生み、つねにアルコールのことばかり考え、追い求めるようになります。

これが「アルコール症」です。

アルコール症のタイプにもいろいろあるので次に紹介します。

アルコール症のタイプ

■単純酪酊タイプ
気分が高揚し、よくしゃべる、気が大きくなる、そのうちにろれつが回らない、ふらつく、急に泣いたり、大笑いするといった、いわゆる酔っ払いの症状です。
これがエスカレートすると、次の問題行動タイプに移行することがあります。

■問題行動タイプ
いわゆる酒乱タイプ。
飲むと暴れたり、因縁をつける、からむなど、異常な行動をとります。
本人は部分的に、あるいはまったく覚えていません。
覚めた後で周囲の人に酒の席での行動や言動を教えられて、初めて自分の醜態を知ります。

■怠業タイプ
飲酒時には大した問題行動はしませんが、二日酔いのため翌日の約束をキャンセルする、仕事に遅刻するなどを繰り返すタイプです。
主婦のアルコール症を「キッチンドリンカー」と呼びますが、これは飲酒のために家事や仕事が出来なくなるタイプです。


アルコール症では、日常生活、社会生活、身体面の障害など、アルコールがもととなった障害が現れます。この病気は、単純に「飲みたい」という欲求だけではなく、アルコールを飲まなくなると手の震え、せん妄、けいれんなどの身体的な症状(離脱症状)が現れ、精神、身体面の両方で、アルコールとの依存関係が形成されていきます。

しかし、すでにアルコール症に陥ったあとでも、習慣的な飲酒から依存症になった節目がわからないため、アルコール依存という認識がないまま、アルコール摂取を続けます。

特殊なタイプとしては、ある一定期間、発作的に大量飲酒を続け、こうした飲酒発作を繰り返すものもあります(渇酒症)。

治療をしないままアルコール摂取を続けると、肝機能障害などの内臓疾患やアルコール性嫉妬妄想、アルコール性痴呆、コルサコフ症候群、ウェルニッケ脳症などのアルコール性精神病へと進行します。

症状について

アルコール症は習慣的な飲酒と依存症との節目がわかりにくい病気です。
ここでは、飲酒パターンの例から思い当たる症状を見てみましょう。

■週に一度は休肝日(酒を飲まない日)をもうけていたのに、ストレスがたまったり、気分がムシャクシャしたことをきっかけに、毎日飲むようになった。

■以前は、日本酒2合、ウイスキー水割り3杯程度で酔っていたのに、今はそれでは酔わない(耐性)。

■夕方になると、酒が飲みたくなりソワソワしてしまう。
休日は朝から飲んでいる。

■飲んだときの記憶が途切れるほど深酒することがあり、そのために朝起きられず、約束をキャンセルする、会社を休むこともある。

■酒がないと不安になり、イライラしたりするため、深夜でも酒を買いに出かける。


以上のような症状がある場合は、アルコールに対して精神依存が形成されているといえます。

また、続けてアルコールを摂った後に中断すると、手が震える、眠れない、発汗、動悸、不整脈、イライラ感、不安感、落ち着かない、強迫的な飲酒への渇望といった情緒障害などが現れるほか、けいれん発作にいたることもあります。こうした不快な症状は、再びアルコールを飲むことで軽くなるため、飲酒を繰り返します。

さらに進行すると、せん妄状態に入り、壁や床に虫や動物が這ってるように見えたり(幻覚)、虫が体を這うような感覚(幻触)などの幻覚症状が現れます。

また、アルコール症では、肝機能障害などの内臓疾患を伴うことが多いのですが、医師から禁酒を指示されているのに隠れて飲むケースも少なくありません。

周囲の人の対応

アルコール症により、身体的に障害が現れる、経済的に貧困になったことなどを機に、そこから立ち直る人も多いものですが、できれば、慢性的な二日酔い、飲酒時の問題行動など、家族がきづいた時点で本人とよく相談し、専門家による酒害教育を受けることが早期回復への近道です。

二日酔いで約束をキャンセルする、会社を休む、というときに、家族が代わりに、会社や約束の相手に嘘の理由を伝える、というようなかばう行為も、本人のためにはなりません。

家族は毅然とした態度で接するようにしましょう。